デザインスタジオ代表(社員6人)
1人代表の秘書エージェント
社員6人のデザインスタジオの代表1人のために、メール・予定・メモ・見積もりツールを知る秘書エージェントを作りました。返信の下書きと日程調整、週次の振り返りを代わりに行い、社外に出るものは代表が承認します。

背景
お客様は社員6人のデザインスタジオを運営する代表です。営業、見積もり、顧客対応、日程、採用まで1人で担っており、1日の始まりと終わりはメールボックスでした。夜間に溜まったメール40〜60通を朝に読んで急ぎを選別するのに1時間、返信を書くのに1時間かかっていました。日程を決めるには「いつがご都合よろしいですか」というメールが平均4回往復し、会議の直前には過去のメールとメモを探し回るのに15分を使っていました。見積もりの問い合わせは忙しいと2〜3日遅れ、その間に他のスタジオへ行った顧客もいました。
代表が望んだのはチーム用のツールではなく、自分1人の働き方を知る秘書でした。そして2つの条件がありました。メールと予定は本人のアカウントにそのまま置くこと、社外に出るものは必ず本人が確認すること。
つくったもの
目標は、代表の1日から読んで探して整理する時間を取り除き、決めて関係を築く時間だけを残すことでした。5つのものを作りました。
1. 代表のアカウントの中で働く構造
エージェントは代表のメール、カレンダー、メモアプリ、見積もりツールへのアクセス権限だけを受けて働きます。データを別の場所にコピーせず、代表が権限を切ればその瞬間に何もできなくなります。何を読み、何を作ったかの記録が残り、代表はいつでも確認できます。
2. 朝のブリーフィングと返信の下書き
毎朝7時、夜間に届いたメールを「今日答えるべきもの」「返信が必要」「参考のみ」の3つに整理したブリーフィングが届きます。返信が必要なメールには下書きが付いています。代表の過去2年分の返信から口調、よく使う表現、断り方を学びました。代表は読んで直して送ります。エージェントが自分でメールを送ることはありません。
3. 日程調整
相手のメールから会議の依頼を読み取ると、代表のカレンダーの空き時間と移動時間、代表が決めたルール(「午前は制作時間」「金曜午後は空けておく」)を反映して候補2〜3個を返信の下書きに入れます。相手が選ぶとカレンダーに登録し、ビデオ会議のリンクを作ります。確定前に代表が一度確認します。
4. 会議の準備と記憶
会議の30分前に、相手とやり取りしたメール、関連メモ、前回の会議の決定事項と未解決項目が1枚にまとめられて届きます。普段は「A社は前回、予算はいくらと言っていた?」のように尋ねると、メールとメモ、議事録から出典とともに答えます。
5. 見積もりの下書きと週次の振り返り
見積もりの問い合わせが来ると、問い合わせ内容を見積もりツールに入れて下書きを作り、返信の下書きに添付します。代表が金額を確認して送ります。金曜の午後には、今週の時間をどこに使ったか、返信していないメール、来週準備すべきことをまとめた振り返りが届きます。
導入の流れ
| 期間 | 実施内容 |
|---|---|
| 1週 | 代表に2日間同行。メール・予定・メモの流れと判断基準を整理。アクセス権限と記録の方法を合意 |
| 2〜3週 | ブリーフィングと返信の下書き。過去2年分の返信から口調を学習。代表が下書きを直した内容で毎日補正 |
| 4〜5週 | 日程調整と会議の準備。カレンダーのルールを整理 |
| 6〜7週 | 見積もりの下書き連携、記憶・検索、週次の振り返り |
| 8週 | 運用移管。ルールと口調の修正方法、権限管理の案内 |
最初の2週間、代表が返信の下書きを大きく直した割合は45%でしたが、直した内容を毎日反映するうちに6週目には12%に下がりました。代表が「これは自分が書いたみたいだ」と言ったのは5週目でした。
代表の1日がどう変わったか
朝はメールボックスの代わりにブリーフィング1枚から始まります。急ぎの2〜3件に答え、残りの下書きは移動中に直して送ります。日程は相手が候補から1つ選べば終わり、会議の前にはまとめられた1枚を読んで臨みます。見積もりの問い合わせには当日中に返答が出ます。
メールボックスに使っていた1日2時間は30分に減り、その時間はデザインのレビューと顧客との打ち合わせに回りました。金曜の振り返りで、代表は初めて自分の時間がどこに行っているかを数字で見るようになりました。メールと予定とメモは、最初から今まで代表のアカウントにそのままあります。
以下の表は、業務ごとに導入前と導入後を比較したものです。
成果
2時間 → 30分
代表が毎日メールボックスに使う時間
4回 → 0回
日程を決めるために往復していたメール(1件あたり平均)
0件
代表の確認なしに社外に出たメールや予定
本人のアカウント
メール・予定・メモは代表のアカウントにそのまま。エージェントは権限だけ受けて働く
朝のメール整理
導入前夜間に溜まった40〜60通を自分で読んで急ぎを選別。毎日1時間
導入後急ぎ・返信必要・参考のみの3つに整理されたブリーフィングを読む。10分
返信の作成
導入前見積もりの問い合わせ、日程の問い合わせ、資料依頼に似た返信を毎回新しく書く。1日15通、1時間
導入後代表の口調と過去の返信から下書きが付いている。読んで直して送る。20分。送るのは代表
日程調整
導入前「いつがご都合よろしいですか」のメールが平均4回往復
導入後相手の依頼を読み、代表のカレンダーの空き時間と移動時間を計算して候補を2〜3個提案。確定は代表が。往復0回
会議の準備
導入前会議の直前に過去のメールとメモを探し回る。会議あたり15分、見つからないことも
導入後会議の30分前に相手とのやり取り、関連メモ、前回の決定事項が要約されて届く。0分
見積もり問い合わせの一次対応
導入前代表が自分で見積もりツールを開いて計算。忙しいと2〜3日遅れ
導入後問い合わせ内容から見積もりツールに下書きを作り、返信の下書きに添付。代表の確認後に送信。当日
記憶と検索
導入前「あのとき、あの顧客は何と言っていたか」をメール・チャット・メモから探す。10〜20分
導入後自然言語で尋ねるとメール・メモ・議事録から出典とともに答える。1分
週次の振り返り
導入前やっていない。何に時間を使ったか分からない
導入後金曜午後に、今週の時間の使い方・未返信・来週の準備事項をまとめた振り返りが届く。毎週10分で確認


