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ITサービス企業(社員120人、月間経費1,800件)

経費精算エージェント

社員120人が毎月提出する1,800件の領収書と法人カード明細を読んで精算表を埋め、規程に反する案件だけを選んで表示するエージェントです。お金が出る承認は人が行います。

経費精算エージェント

背景

お客様は社員120人のITサービス企業で、出張や顧客訪問が多く、毎月1,800件の経費が提出されます。社員は領収書を撮影し、精算システムに日付、店舗、勘定科目、金額、理由を直接入力していました。1件あたり12分かかり、ほとんどが月末にまとめて処理されていました。

経理チームの2人は月次締めで法人カード明細と提出された領収書を1行ずつ照合し、漏れを催促し、精算表を会計システムに勘定科目ごとに再入力していました。締めには3日かかりました。上長は部下の経費を1件ずつ開いて承認していましたが、上限超過や週末利用、同じ領収書の重複提出といった規程違反は、締めが終わってから発覚することが多くありました。部門ごとの今月の支出は、翌月中旬にExcelの集計が出るまで分かりませんでした。

つくったもの

目標は、入力して突き合わせる作業をなくし、判断が必要な案件だけを人の前に置くことでした。お金が出る承認は最後まで人が行います。5つのものを作りました。

1. 領収書とカード明細の読み取り

社員が領収書を撮影するか法人カードの承認通知をそのまま上げると、エージェントが日付・加盟店・金額・消費税を読み取り、勘定科目を付けます。加盟店の業種と過去の提出履歴から科目を選び、確信度が低いときは候補を2つ示して社員が選べるようにしました。社員は理由を一行確認するだけです。

2. カード突き合わせ

カード会社の承認明細を毎日受け取り、提出された領収書と金額・日付・加盟店で突き合わせます。領収書がなく承認だけある案件は該当社員に「この決済の領収書を上げてください」と通知し、領収書だけあって承認がない案件(個人カード決済)は別に表示します。

3. 規程チェック

会社の経費規程をルール表に移しました。食事代の1人あたり上限、残業食の時間条件、接待費の参加者記載、禁止業種、同じ領収書の重複提出、出張期間外の決済などです。規程に反する案件はどの条項に該当するかとともに表示され、それ以外は「問題なし」として進みます。ルール表は経理チームが自分で修正します。

4. 承認画面

上長は問題のない案件を要約(件数、合計、科目別の内訳)だけ見て一括承認し、表示された案件だけを開きます。承認・差し戻しの理由が残り、差し戻された案件は理由とともに社員に戻ります。承認なしに支払われる経費はありません。

5. 会計仕訳とダッシュボード

承認済みの精算表は、勘定科目、部門、プロジェクトコードが付いた仕訳として会計システムに自動生成されます。部門別・科目別の支出は承認と同時にダッシュボードに反映され、予算の80%を超えた部門は上長に通知されます。

導入の流れ

期間 実施内容
1〜2週 過去6か月の経費1万件と差し戻し履歴を分析し、勘定科目ルールと規程表の草案を作成。経理チームと規程の解釈をすり合わせ
3〜5週 領収書の読み取り、カード突き合わせ、規程チェックを構築。1か月分の経費を人の処理結果と並べて比較するシャドーモード
6〜8週 承認画面、会計仕訳連携、ダッシュボードを追加。開発チームと営業チームが先行して使用
9〜10週 全社適用。社員への案内、経理チームへのルール表修正ガイドを引き渡し

シャドーモードでは勘定科目の自動分類が人と92%一致し、規程違反は人が締め後に見つけたものより1.4倍多く検出しました。経理チームが規程表を2回手直しした後、誤検出(問題ないのに表示された案件)は全体の3%未満に下がりました。

担当者の1日がどう変わったか

社員は決済直後に領収書の写真を1枚上げて理由を確認すれば終わりです。月末に領収書の束を抱えて入力していた夜はなくなりました。上長は月末に150件を1件ずつ開く代わりに、表示された20件ほどだけを確認し、残りは要約を見て承認します。

経理チームの締めは3日から半日に短縮されました。カードの突き合わせと仕訳入力がなくなり、残った仕事は表示された案件の確認と規程表の整備です。部門別の支出は締めを待たずにダッシュボードですぐに確認できます。

以下の表は、業務ごとに導入前と導入後を比較したものです。

成果

  • 3日 → 4時間

    月次締めで経理チームが精算表を突き合わせる時間

  • 12分 → 1分

    社員1人が経費1件を提出するのにかかる時間

  • 38%

    承認前に検出された規程違反の割合(以前は締め後に発覚)

  • 0件

    人の承認なしに支払われた経費

  • 経費の提出

    導入前

    領収書を撮影し、精算システムに日付・店舗・科目・金額・理由を直接入力。1件あたり12分、月末にまとめて処理

    導入後

    領収書の写真やカード明細を上げると項目が自動入力される。理由だけ確認。1件あたり1分

  • カード明細と領収書の突き合わせ

    導入前

    経理チームが法人カード明細と提出された領収書を1行ずつ照合。月2日

    導入後

    カード承認明細と領収書が金額・日付・加盟店で自動マッチング。不一致だけ表示。月2時間

  • 規程チェック

    導入前

    上長が目視で承認。上限超過や週末利用は締め後に発覚

    導入後

    上限・時間・業種・重複提出を規程表と照合し、違反だけ表示。承認前に検出

  • 承認

    導入前

    上長が全件を開いて確認。月150件

    導入後

    問題のない案件は要約だけ見て一括承認し、表示された案件だけ開く。月20件

  • 会計仕訳の入力

    導入前

    経理チームが精算表を見て会計システムに勘定科目ごとに再入力。月1日

    導入後

    承認済みの精算表が勘定科目・部門・プロジェクトコード付きの仕訳として自動生成

  • 月次締め

    導入前

    未提出の催促、漏れの確認、突き合わせ、仕訳まで3日

    導入後

    未提出者へ自動通知、突き合わせと仕訳は自動。経理は表示された案件だけ確認。4時間

  • 部門別支出の把握

    導入前

    締め後にExcelで集計。翌月中旬

    導入後

    承認と同時に反映される部門別・科目別ダッシュボード。リアルタイム

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